実施する取組の具体的内容
PROGRAM
Ⅰ. 入学前 ~留学生の負担減と入学ルートの多様化~
(1)現地の日本語学校・教育機関との連携による、留学費用の圧縮と入学前の日本語力強化(ベトナム、ミャンマー)
介護福祉士の試験や現場において求められる日本語は高度で、専修学校の入学前にN2レベル以上の日本語力が必要とされる。介護分野の留学生の約7~8割は、専修学校入学前に日本の日本語学校で日本語を学習している。しかしこれら日本語学校関連の諸費用(入学金・学費・寮費など)は年間100~120万円程必要であり、留学費用の高額化を招いている。
かかる状況に対して、留学生の母国の日本語学校や機関との提携によってこのルートから専修学校に入学するルートの開拓が効果的と考えられる。例えばベトナム(ホーチミン、ハノイ)のベトナム日本人材開発インスティチュート(JICA日本人材開発センター)では60時間の日本語コースを約2万円で、ミャンマーのOHIO International社は約1万円でそれぞれ提供しており、このような現地機関との連携を実現できれば留学生の費用負担は大幅に(合計100万円以上)圧縮できる。
この取組の試行はベトナム・ミャンマーの両国で行う。連携先側のメリットは、当校との連携によって網羅できる需要が拡大(介護分野で日本に行きたい入学希望者を取り込めるようになる)し、学生数の増加が期待できる点である。両国とも本事業ならびに当校との連携に関心を示す日本語学校や教育機関が現時点で複数あり、本事業を通じて連携の最適化(最適な連携先の確定、もしくは複数の連携先の併存等)を図っていく。
(2)特定技能修了者への訴求強化(スリランカ)
介護職の特定技能は、その期限が満了すると日本への継続滞在はできないが、介護福祉士資格を取得することで継続滞在が可能となる。国家資格取得のために専修大学で学びたいという需要は一定数存在し、本事業でその可能性(当該学生向けのオンライン教材の開発など)を模索していく。なお、彼らは勤務を通じて日本語も介護の知識も習得しているため、国家試験取得の合格により近いと考えられる。
(3)募集時の訴求方法の工夫
留学生への訴求にあたっては、①当校への留学のメリットの訴求、②特定技能にはない魅力の訴求、の2つの要素が必要である。「すぐに所得を増やせる点」は特定技能に軍配が上がるため、留学の推奨には「日本で永続的に勤務できる介護福祉士資格取得への近道である」(母国の給与よりも日本の給与が高い状況下であれば長期的には高い所得を得られる)というメリット訴求と、それに付随する不安感や不透明感の解消(日本の生活や就職の不安等)が必要と考える。また、(1)(2)の取組により募集対象の居場所が現地となる(従前は日本)ため、訴求や募集の導線の最適化も併せて必要となる。具体的には訴求内容を「就職までの包括パッケージ」とし、募集の導線としてオンラインの活用(現地提携校に設置するパンフレット・チラシからオンラインコンテンツ閲覧への導線づくり)を図り、費用負担や就職・将来の所得獲得への不安解消による訴求力の向上、ひいては学生数の増加を目指す。また、当該機会に現在の留学生の生の声(率直な感想や留学生コミュニティの紹介)も配信することで、不安感解消の仕掛けを強化する。
(4)県や行政と連携した補助金制度の作成・改善
沖縄県には現在、「沖縄県介護福祉士就学資金」という介護福祉士を目指す学生向けの経済面の支援制度がある。上記の(1)で留学費用自体の圧縮は試みつつ、残額(当校にかかる費用負担含む)を減額し得る仕組みとして、これらの拡充を模索する。具体的には北海道の函館市のように、ふるさと納税による行政への歳入を介護人材の育成・確保に充てる等を検討する。
Ⅱ. 在学中(教育指導) ~インプット・アウトプット両面の体系強化~
(1)インプット強化:既存教材「にほんごをまなぼう」の活用と補助教材の開発
介護分野には、厚生労働省のプロジェクト(公益財団法人・日本介護福祉士会が受託)により制作された無料の教材プラットフォーム「にほんごをまなぼう」が存在する。本教材は13の言語(本事業の対象3か国の言語含む)に対応し、「介護の日本語」・「外国人のための介護福祉士国家試験一問一答」といった介護福祉士の試験対策教材や利用者間のネットワーク構築を支援している。当校ではこの教材を最大限に有効活用するため、以下の3点を柱とした教育体系(教材活用と学習支援の共進化モデル)を構築する。
- ①教材の活用状況と学習効果の分析(アンケート・定着率調査の実施)
- ②教材における不足分野への補助教材(例:漢字理解、記述式問題)の開発と校内トライアル
(2)アウトプット型教育モデル:模試結果のデータ分析とインプットへの反映
「試験慣れ」の対策には、過去問や模試受験を活用した学習のアウトプット機会の提供が効果的と考える。試験対策として学校オリジナル模試を毎年5回実施する。これを単なる模試ではなく、下記の教育モデルとして運用していく。
- ①模試の実施
- ②模試スコアを分析し、弱点単元別に個別指導計画を作成(AI教材導入も検討)
- ③②の分析結果を分析し、日本人学生との比較・成長度合いや、国籍別に苦手分野や苦手な問題の傾向を定量的に可視化
- ④③の結果を補助教材の開発に活用(翻訳付き解説集の作成等)
Ⅲ. 在学中(在籍管理・生活サポート)~心理的安全性と日本語実践の場の両立~
(1)アルバイトの質的向上:国家試験対応型・キャリアパス型配置
当校はいーまーるの社員法人および県内の介護施設と連携し、留学生の就業機会やアルバイト機会を提供している。本事業においては、アルバイト活動を「単なる就業機会」「お金を稼ぐ活動」から昇華させ、アルバイト先での活動も試験合格率の向上に寄与する仕掛け(国家試験における「介護過程」「生活支援技術」等の出題項目に準拠した活動を意識できる仕組)を、施設側と連携しながら構築していく。具体的には、以下の取組を進める。
- ①「業務内容と学習内容のリンク表」の作成および学生・施設への共有
施設と協力して、施設における業務で必要とされる介護技術(移乗・清拭・食事介助・排泄介助など)の各活動と、国家試験の出題基準との対応関係を整理し、リンク表として形式知化する。これを用いて学生と施設(指導者)双方が「現場で学ぶべきことの全体像」や「学びが不足している項目」を意識できるようになることで、学習の効率化や深化を図る。 - ②「試験対策支援施設」の認定制度づくりと運用
当校の担当が各施設の業務内容や指導体制を確認し、とりわけ学習との親和性が高い施設を「試験対策支援施設」として認定し、当該施設に対して学生を優先的に推薦していく。 - ③現場指導者との情報共有シート運用
学生が週1回アルバイトでの活動を記録し、現場指導者・担任教員と共有する。これにより実務での経験の授業や試験対策へフィードバックを図る。
(2)放課後活動の定量的活用:サブカルチャー活用×言語データベース化
放課後活動の充実化により、留学生の日本語力のレベルアップに加えて学生間のコミュニティ醸成(それに伴う心理的安全性の向上)も図る。国際交流基金の統計によると、海外の日本語学習者の約7割がサブカルチャーを日本語学習の動機に挙げており、これらを活用する。具体的には校内でアニメ・漫画・J-POP等を視聴できる環境を整え、「キーワード/セリフを書き出す」・「実際の会話に使ってみる」など言語実践型ワークシートの開発や漢字クイズ大会、アニメの日本語訳大会、カラオケ大会などのイベントを開催し、ゲーム感覚での言語習得を推奨する。また、学習ポートフォリオ等を用いた学習履歴(スピーキング・語彙・漢字力)の可視化も検討する。
Ⅳ. 就職・定着支援 ~就職後のフォローと職場適応支援~
当校では現在、留学生の卒業後就職率100%を実現している。本事業を通じて留学生が増加しても就職率は維持しつつ、以下の活動を通じて「就職後の定着率」の向上にも取り組んでいく。
(1)職場内適応支援:就職後半年間の生活・業務伴走支援プログラムの設置
就職先施設に対する外国人材向けオリエンテーションプログラムや受入研修マニュアルを作成し、これらを提供する。また、当校および就職施設による「就職半年フォローシート(生活状況・日本語・業務理解等の項目)」を作成・記録し、ミスマッチの回避や問題の早期発見を実現していく。
(2)定着率の可視化とモデル化
卒業生の就職後1年後の定着率(就業継続率)を可視化し、90%以上を目標とする。上記成果をレポート化し、他地域や厚労省政策への横展開モデル資料として発信していく。
取組の年次計画
PLANNING
令和7年度(Plan)
現地機関との提携等
- ①現時点で本事業に内諾を得ているベトナム・ミャンマーの機関と具体的な提携シナリオを相談・確定する
- ②①を受けて募集ツールの作成に着手する
- ③募集説明会(トライアル)を実施する
- ④スリランカの特定技能修了生受け入れに関する調整(国内またはオンライン協議)
- ⑤県や行政機関と留学生支援のスキームを相談開始する
- ⑥令和8年度募集に向けてN2合格者の入学を3か国で合計の5名以上目指す
教材開発・学習支援・生活支援等
- ①「にほんごをまなぼう」の活用実態調査を実施する
- ②留学生への「好きな日本のサブカルチャー」調査等を実施しながら、活用できそうなサブカルチャー素材を検討する
- ③模試のトライアルを実施する(2回程度想定)
- ④「業務内容と学習内容のリンク表」の作成に着手する
就職支援等
- ①オリエンテーションプログラムや受入研修マニュアルの作成に着手する
令和8年度(Do/Check)
現地機関との提携等
- ①募集ツール(パンフレット・動画)を完成させる
- ②①を用いてベトナムとミャンマーにおいて第1回の募集説明会を実施する
- ③新規の連携機関開拓を継続する
- ④スリランカの特定技能修了生の受入開始する
- ⑤県や行政機関と相談し、留学生支援スキームの具体化を図る
- ⑥令和9年度募集に向けてN2合格者の入学を3か国で合計の10名以上目指す
教材開発・学習支援・生活支援等
- ①「にほんごをまなぼう」の活用実態調査を受け、補助教材を開発する
- ②11月~12月頃に模試を実施する
- ③サブカルチャー素材を活用したイベントを隔月で開催する
- ④「業務内容と学習内容のリンク表」を完成させ、「試験対策支援施設」の認定制度を設ける
就職支援等
- ①オリエンテーションプログラムや受入研修マニュアルを完成させる
令和9年度(Action)
現地機関との提携等
- ①必要に応じて募集ツールの改訂を行う
- ②①を用いてベトナムとミャンマーにおいて募集説明会を実施する
- ③新規の連携機関開拓を継続する
- ④スリランカの特定技能修了生の受入を継続する
- ⑤令和10年度募集に向けてN2合格者の入学を3か国で合計の15名以上目指す
教材開発・学習支援・生活支援等
- ①「にほんごをまなぼう」の補助教材に修正が必要であれば実施する
- ②11月~12月頃に模試を実施する
- ③サブカルチャー素材を活用したイベントを隔月で開催する
就職支援等
- ①オリエンテーションプログラムや受入研修マニュアルを必要に応じて修正する
当校の留学プログラム詳細
DETAILS
学校紹介
| 名称 | 学校法人大庭学園 沖縄福祉保育専門学校 |
|---|---|
| 場所 | 日本 沖縄県那覇市 |
| 歴史 | 1948年設立(専門学校は1985年設立) |
| 特徴 | 沖縄の中心地「那覇市」に位置/多国籍な留学生が在籍/日本人学生と共に学ぶ環境 |
修学期間と学費
| 修学期間 | 2年間 |
|---|---|
| 学費総額 | 1,720,000円(2年間合計) |
※学費に含まれるもの:授業料/テキスト代/実習着代など
※追加の徴収が少なく安心です。
奨学金制度
| 貸与額 | 1,680,000円~2,500,000円 |
|---|
※卒業後5年間、沖縄県内で介護職として働くこと。条件を満たせば、返済は全額免除されます。
※学費と生活費の一部をカバーできる手厚いサポートです。
住まい(生活環境)について
学生寮ではなく学校が準備したアパートで生活します。
| 家賃の目安(月額) | 2人シェアの場合は1人3万~4万円/1人暮らしの場合は約5万円 |
|---|
アルバイトと生活サポート
- ・行政手続き等のサポート(沖縄福祉保育専門学校/介護事業所)
- ・介護アルバイトの紹介
- ・アルバイト収入見込み:月額8万円程度
- ※勉強と両立しながら生活費を補うことが可能です。
入学時期と必須条件
| 入学時期 | 4月 |
|---|---|
| 必須条件 | JLPT N2以上の合格証明書/ベトナム・ミャンマー・スリランカでの学習歴12年以上 |
多国籍な環境と先輩たち
| 在籍留学生の出身国 | ネパール/フィリピン/ベトナム/インドネシアなど |
|---|
クラス構成(実績)
| 1年生 | 27名中、留学生17名(日本人9名) |
|---|---|
| 2年生 | 21名中、留学生14名(日本人7名) |
※日本人学生と一緒に学び、成長できる環境です。